リーダーシップの向上がハラスメント対策になる
はじめに
現代の職場環境では、多様性(ダイバーシティ)がますます重要視され、多様なバックグラウンドや視点を持つ人々が集まることで、創造的なアイデアや新しい解決策が生まれやすくなります。そのような環境下の中では多様性を尊重するリーダーシップが求められる事は言わずもがなではあります。すべての従業員が安心して働ける環境を作り、組織全体のパフォーマンスを向上させる鍵となっており、本コラムでは、多様性を尊重するリーダーシップのあり方と具体的な方法について解説します。
なぜリーダーシップに着目するのかというと、ハラスメントが発生しやすい職場では前回のコラム記事でも記述したように、コミュニケーションが円滑に行われていないことが多く、その要因は組織のリーダーにあることが多いのが現状です。ハラスメント対策をしよう!という入り方よりも、リーダーシップを向上させる、という目的で変化を加える方が組織としても初動が速いと考えられますので、是非参考にして頂けますと幸いです。
ハラスメント対策としてのリーダーシップ
まず何より理解をしていかなければいけないのが、「多様性の価値を理解する」という事です。つまるところ、ハラスメントの要因の1つには「多様性の理解不足」が挙げられます。
多様性とは、異なるバックグラウンド、性別、年齢、文化、価値観、経験を持つ人々が集まることを指し、それぞれが何を大切にしているかは個々に全く違う状態です。5年前の当たり前は通用しないと考えたほうが良いと感じておりますので、まずは多様性がもたらす利点を理解し、その価値を認識することがリーダーシップの第一歩です。多様な視点やアイデアが集まることで、問題解決能力が向上し、イノベーションが生まれやすくなります。一方でハラスメントとして扱われてしまう危険性も飛躍的に増加しているという事も理解する必要があります。
では、実際にリーダーシップを発揮するために求められる考え方やスキルにはどういったものがあるのか、を以下に記述していきたいと思います。
効果や手法 | |
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創造性とイノベーションの促進 | チームメンバーは独自の視点や経験を持っている。これが従来の枠にとらわれない斬新なアイデアを生み、組織にイノベーションを起こします。 頭ごなしに否定するのではなく、発言しやすいようなチーム環境を作り上げる事が重要です。 |
問題解決能力の向上 | チームビルディングの手法として、問題解決方法はテンプレート化されてしまっている場合があります。ですが、同じように見える問題と処置も、関わる人が変わると全く違う着地となってしまいます。それがハラスメント被害に直結しうるという事を理解し、問題を多面的に捉えることが求められます。 |
従業員のエンゲージメント | 従業員が自分の役割に対して積極的に関わり、会社の目標に対してコミットメントを持つことを意味します。 承認し、成長実感を与えられるリーダーがメンバーのエンゲージメントを高められます。 |
心理的安全性 | こちらもハラスメントとの関係性が高い項目です。心理的安全性のあるチーム環境下では、相談しやすい状態が担保されていますが、そうでない職場では、常に不安を抱えて仕事に臨むメンバーが増加する傾向にあります。 |
ハラスメント対策としてのリーダーシップの具体的な方法
まずは、とにかくリーダーとなる方やこれまで長らくリーダーとしてマネジメントに携わってきた方々がリーダーシップのあり方を見直していく事が求められます。
SNSの普及により、より多様性が認められる社会となり、比較対象が大きく広がったことを理解することがまず1歩です。ハラスメントが発生しているかどうかは当事者にもその場では分からないほどにナイーブな内容となっています。当事者同士が感じていない事でも、周りの方々がそれをハラスメントと認識する可能性もあるほどです。
そういった危険性が常にある事を理解しておかなければ、これからの時代では自身の身を守っていく事も出来ません。理解をし、それをしっかりとマネジメントに落とし込む事が出来れば、逆にマネジメント力を評価される可能性も一気に向上します。また、会社の規定を多様性に合わせたものに変更していく事もまた、1つの手法となります。例えばですが…
- フレックスタイムの導入
- リモートワークの導入
また、社内プロジェクトとして以下のような取組みを行っている企業様も当社クライアントでありましたので、ご参考までに。
詳細 | |
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D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)トレーニングの実施 | 企業内でD&Iトレーニングを定期的に実施し、従業員全員が多様性とインクルージョンの重要性を理解する機会を提供します。これにより、職場全体での意識向上が図られます。 モラハラ・パワハラなど多岐にわたるハラスメントへの対策となることが考えられます。 |
女性活躍推進プロジェクト | 女性が活躍できる環境を整えるためのプロジェクトを立ち上げ、女性リーダーの育成や女性向けのキャリア支援プログラムを実施します。これにより、女性のエンパワーメントが進みます。 特にモラハラ・セクハラなどのハラスメントへの理解度が向上していきます。 |
LGBTQ+支援活動 | LGBTQ+コミュニティの従業員を支援するための活動を実施し、彼らが安心して働ける環境を提供します。例えば、LGBTQ+に関する啓発活動や支援プログラムを導入します。 特にモラハラ・セクハラなどのハラスメントへの理解度が向上していきます。 |
ハラスメント対策まとめ
多様性を尊重するリーダーシップは、組織全体のパフォーマンスを向上させ、従業員の満足度を高めるために不可欠です。本コラムで紹介した方法を実践することで、すべての従業員が安心して働ける環境を作り出すことができます。また、これらのリーダーシップスキルはハラスメントの予防にも効果的であり、健全な職場文化を育むために重要です。